第48話    『総括そのV』

日清戦争と同じく、この日露戦争も朝鮮と満州の支配を巡る戦争とされている。しかし、このように『支配』をやたら強調する歴史観には、なぜ、日本が満州にこだわり、その為に大国ロシアに挑まねばならなかったかという視点が完全に欠如している。

韓国政府が親露派に転じたことで、ロシアは南下政策を一気に推し進め、韓国に対する支配を強めていった。日本にとって最大の懸案事項はやはりロシアの軍事拠点拡大である。

日本はロシアに対して南下政策を必死に抗議を重ねたがことごとく無視された。
ここにいたって、日本政府はロシアと戦うことを覚悟せざるを得なかったのである。
 
当時、ロシア海軍の総排水量は約51万トン。それに対して日本は26万トンだった。イギリスはもちろん、イギリスに次ぐ海軍を持つドイツでさえ対露戦争を避けていたくらいである。

日本には2つの幸運があった。1つは日英同盟という強力な体制があったこと。そしてもう1つは戦費を得るために奔走していた日銀副総裁 高橋是清がアメリカ在住のユダヤ人ヤーコプ・シフという人物から500万ポンドも借款を得た。ユダヤ人を迫害するロシアと戦う日本を彼は喜んで支援したのであった。
 
そして、日本はロシアに勝ったのである。

その為には、開戦前より、いかに早く日本有利で戦争を終わらせるかであった。(長引けば大国ロシアに負ける。)
そして外交上においても日本に有利な講和条約(ポーツマス条約)を結べたのである。

しかし、それにもまして重要なのは、これを機に世界の様相ががらりと変わることとなった。なにしろ、アジアの小さな有色人種国が、ナポレオンすら裸同然で追い出したロシアを破ったのである。

あまり指摘されていないが、日露戦争は20世最大の重大事件だったといえる。というのも、これ以降、白人の植民地は1つも増えていないからである。

                             チャン チャン