第44話    『3億円事件』

1968年  昭和43年   我々の25歳の時

12月10日 午前9時20分頃、府中市の路上で白バイ姿の若い男が、日本信託銀行国分寺支店の現金輸送車に停止を命じ、車を奪って逃走した。1時間後、車は現場から約700b先の国分寺跡に乗り捨ててあるのが発見されたが、東芝府中工場の従業員のボーナス2億9430万円が入った3つのジュラルミンケースは失われ、史上最大の現金強奪事件となった。

犯人は『支店長宅が爆破された。この車にも爆発物が仕掛けられている』と、乗務員を避難させ、車体を点検するといって前方に回り、発煙筒を炊いた。乗務員がひるんだすきに車に乗り込みフルスピードで逃走、その間わずか3分だった。6日に支店長宛に脅迫状が届いていたことも、警官と思いこませる原因となった。

犯行の手際の良さ、逃走用の車の待機、土地や銀行内部の事情に詳しいこと、現金の入ったケースが1個50sもあることなどから、捜査本部は複数の計画犯行とみて、大捜査網を引いて犯人逮捕に全力を挙げるが、7年後の1975年12月10日、事件は未解決のまま時効となった。           あざやか