第39話    『生きていたタローとジロー』

 1959年(昭和34年)1月   我々の16歳の時

日本の第3次南極観測隊(隊長 永田武)は、午前より昭和基地への空輸を開始。砕氷船宗谷を飛び立ったシュルスキーS58型2機が 午後2時45分昭和基地に到着した。その際、前年極寒の基地に置き去りにされたカラフト犬15頭のうち、2頭の生存を確認、その後の調べでこの2頭はタロー、とジローであることが分かった。

1957年に昭和基地を建設し越冬観測に入った第1次越冬隊は、翌年第2次越冬隊と交代することになっていたが、氷の状態と気象条件が悪化したため交代隊員を乗せた宗谷が、昭和基地への接岸に失敗、第1次隊員は宗谷搭載のビーバー機でかろうじて基地を脱出した。その際、隊員と共に活躍した犬たちは鎖につながれ、1週間分の食料を与えられただけで基地に取り残されたのであった。
    なぜ、つれて帰れなかったのか??
    なぜ、鎖につないだままなのか??
         日本国中物議をかもしたのである。

極寒の地で、1年間を生き抜いてきた、タローとジローの発見のニュースは、日本中に深い感動を呼ぶと共に、第3次南極探検隊にとっても幸先の好いスタートとなった。

なお、ジローは1年半後に南極で死ぬが、タローは日本に帰りその後、10年あまり生存したのであった。

我々に感激をくれてありがとう。タローとジロー。