第35話    『文学界のヒーロー出現』

力道山と、時を同じく、1955年7月

一橋大学に学ぶ学生作家・石原慎太郎(22)の『太陽の季節』が、『文学界』7月号に、発表され話題を呼んだ。

ストーリーは湘南生まれのボクシング好きの高校生・津川竜哉と、彼が銀座で知り合った女性・英子との奔放で屈折した恋愛をじくに、その自由な性行動などアプレ(戦後派)の有閑階級の若者風俗を肯定的に描いたもの。

既制のモラルに挑戦した衝撃的な作品であったため、文壇では、賛否両論が巻き起こるが、翌年刊行された単行本はベストセラーとなる。

そして、この作品がきっかけに、いわいる『太陽族』ブームが起こり、襟の細い背広に細いマンボズボン姿の『太陽族』が、町を闊歩する。なお、『太陽の季節』は、翌年第34回芥川賞を受賞した。