第32話    『三種の神器』

時代は少しさかのぼりますが、1956年(昭和31年)の経済白書は、次のような言葉によって、新しい時代の到来を告げている。
『*******もはや戦後ではない。我々は今や異なった事態に当面しようとしている。回復を通じての成長は終わった。今後の成長は近代化によって支えられる。*********』
 
この頃には、『神武景気』という言葉が盛んに使われた。企業は設備の更新、新設に努めた。国民も戦後の苦しく貧しい生活を経験してきた多くの人々にとって、このような動きに伴う新製品の出現は夢のように思ったのである。
こうしてまず三種の神器へのあこがれが起こった。ここで言う三種の神器とは、白黒テレビ、電気洗濯機、電気冷蔵庫の3つである。
 
テレビの放送は1953年(昭和28年)に始まったが、その受像機は容易に手に入らなかった。40歳の男性でも月収5〜6万円だったのに受像機は、10万円以上もしたのだから無理もなかった。
その為、初の民間放送である日本放送網は、街頭に受像機をセットしたが、そのテレビの前には数十人、数百人の人々が集まって放映を楽しむ有様であった。

電気洗濯機、電気冷蔵庫の値段はさらに高く20万円以上していた。しかし、生産設備の充実と生産量の増加は、たちまちの内に価格の引き下げを実現し、憧れの三種の神器は、10年も達さないうちに、各家庭の必需品と、なったのである。
(テレビが娯楽と文化をおおきくかえていくのであります。)