第30話    『東京オリンピック』

アジアで初めてというオリンピック大会が、東京で開かれたのはその高度成長の最中、1964年(昭和39年)のことであった。

この大会に当たっては、当時の金で1兆800億円もの巨費が投入された。その金を使って東京では道路や下水道などが整備され、新しい高速道路網や地下鉄網が作られた。大型のシティホテルも増えた。東京−−大阪間には世界最高速を誇る東海道新幹線が走るようになった。その目まぐるしい程の変貌は、東京に住む人々さえも驚嘆するほどのものであった。

百近い参加国からの5500人を超す選手達も、外国からの多くの観客も、一様に目を見張った。

『これが、つい20年前に廃墟の中で終戦を向かえた東京なのか???』
『日本やドイツは、奇跡の発展を遂げたとは聞いていたが、此はまさに奇跡以上の発展ぶりではないか』という驚嘆の声が上がった。