第21話  『素顔の占領軍』

昭和20年(1945)9月、占領軍は日本各地にその姿を現した。
8月下旬に占領軍が横須賀や横浜に『進駐』した当時、かって、中国や東南アジア諸地域を占領した日本軍の行動を経験したり、見聞したりした日本人は、この占領軍が大規模な暴行、強奪を行うものと決めてかかっていた。
『婦女子の疎開』が、まず大きな問題として、取り上げられた。
実際に占領軍の将校による暴行、強奪を受けた人も出た。
しかし、南京虐殺のような殺戮は起こらなかった。それは占領を有利に進めるためにも、軍紀の統制が厳格に行われたからといえよう。
  
むしろ、占領軍兵士が人なっこく日本人と交換する風景が多く見られた。日本人の側にも、たばこやチョコレートがお目当てという場合もあり、また、外国人への好奇心もあり、様々な理由から占領軍への敵意をむき出しにすることは少なかったといえる。

廃墟から立ち直る町には、横文字の標識や看板が増えていった。
大都市の目抜き通りでは、あざやかな手さばきで、MP(米軍憲兵)が、交通整理をしていた。『進駐軍』と言うにふさわしい情景であった。