「あと何年生きようとも」(1組 加藤 満國)

50歳代の現役の頃には「もうあと何年生きるだろう いや 生きれるだろう」と考えて それまで過ごしてきた人生にある程度満足していたこともあり 自分の寿命は65歳くらいまでと なんとなく勝手に決めていた。

その頃は 激務といわれている高等学校長職を まずは〈定年まで職務をまつとうする〉ともかく〈途中で投げ出さず職責を果たしたい〉と念じていたし 定年後の5年間くらいは、気ままに悠々と暮らしたいと漠然と思っていたのだ。

ところが だんだん定年の日が近づいてくると 激務と言われた職務にも慣れて まだ続けられそうな気がしたし 身体能力は衰え すぐ躓いたり ものをうっかり落したり もの忘れするようになったものの 気持ちの上では 今までと大した変化もなく 精神的に まだまだ がんばれそうに思えた。

が 定年は定年。 定年後の職場として 今までの恩返しするようなつもりで 給与は少ないが責任のない立場で 私学に勤めることを選び 不登校経験の生徒の成長を手助けする楽しさを味わっている。 そして 働きに出掛けることで 生活のリズムを適当に取るようになった。

やがて そんなリズムの中で生まれた時間を利用して 再び《描こう、描こう》という気持ちが強くなって 毎日制作し 年に2・3度は先輩とスケッチ旅行にも出掛け 地方の美術館も訪ねるようになった。

そして 最近行った島根県浜田市の石正美術館、尾道市の円鍔(えんつば)記念館と岡山の県立美術館浦上玉堂展で 深い感銘を続けて受けた。

なんと 日本画家石本正、彫刻家円鍔勝三や江戸時代の水墨画家浦上玉堂は 70歳代になってから 特に伸び伸びした素晴らしい作品を創っているのだ。 70歳代になってから あんな素晴らしい作品を創れることに驚かされ 大いに刺激を受けた。

私の3、40歳代の制作態度には「よく感動を与えたい」「よく評されたい」「よく技を見せたい」 さらに 少しは「よく売れたい」というような《よく(欲)》が働いていた。

70歳代になって素晴らしい作品を残している作家の生き方に学び いまや「よく」から解き放たれ 伸び伸び・悠々と楽しく描こうとしているし 描けるようになってきた。

もうあと何年生きようとも 死ぬ日まで楽しんで描き続けたいと思っている。

来年の個展(10月25日〜30日 アートホール神戸)に向けて 制作に奮闘中。
   乞う ご期待とご来場

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つぎは 4組 棚田肇さんに バトンタッチします。 
棚田さん よろしくお願いします。

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